気管支喘息の治療方針
気管支喘息は気道の炎症と狭窄の2つの要因からなる疾患です。
気管支喘息は、従来気道狭窄(喘息発作)に対する治療が中心でしたが、発作を起こさないよう、炎症をコントロールする管理薬(コントローラー)が重要であるとされています。コントローラーには、吸入ステロイド薬(フルタイド、アルデシン、
オルベスコ
等)と長時間作働型気管支拡張剤(セレベント、ホクナリンテープ等)があります。これらの薬は発作の予防だけではなく、長期予後(肺や気管支の不可逆的変化)の改善にもつながります。
ステロイドと気管支拡張薬の合剤(アドエア)も発売されました。
発作時はβ2刺激薬(メプチンエアー)を使用します。
発作頻度が多くなれば、吸入ステロイド薬増量、長時間作働型気管支拡張剤の併用、抗ロイコトリエン剤(オノン、シングレアなど)、除放性テオフィリン剤(テオロングなど)の追加をします。
喘息症状を起こす誘因(感冒、ホコリ、疲労、ストレス、タバコ、アルコールなど)を避けることも大切です.
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の管理
COPDは、慢性の咳と痰、体動時の息切れで発症しますが、喘息のような発作による苦しみが少なく、治療による症状の改善が感じにくいため、診断と治療が遅れがちになります。
わが国では40歳以上の8.5%、約530万人がCOPD患者として潜在しているとされ、最大のリスク因子である喫煙率が高いことから、21世紀の生活習慣病として、将来死亡原因の第3位になることが予想されています。スパイロメトリーで1秒率が70%未満であればCOPDと診断できます。
インフルエンザなどの呼吸器感染症の予防が大切で、ワクチンの接種が推奨されています。呼吸困難の改善に気管支拡張薬や、ステロイドの吸入、抗生剤の内服治療を行いますが、呼吸困難が改善しない場合は、在宅酸素治療を行います。
進行を抑制するには、早い時期の禁煙が一番の治療です。
監修:順天堂大学医学部呼吸器内科教授 福地義之助
COPD(慢性閉塞性疾患)診断と治療のためのガイドライン 第2版、日本呼吸器科2004
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